大判例

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東京高等裁判所 昭和26年(う)2365号 判決

本件控訴の趣旨並びにこれに対する答弁は、末尾に添附した検察官作成の控訴趣意書及び弁護人提出の答弁書記載のとおりであつて、これに対し当裁判所は次のとおり判断する。

原判決は被告人が丹羽公一及び丸山マスに対しそれぞれ金銭の貸付をなした事実を認定しながら、右貸付は単に二回でそれも数ケ月の間に行われたものに過ぎず、被告人が反覆継続する意思に出でたものと認定するに足る資料が存在せず、従つて本件貸付はこれを業としてなしたものとする証拠が十分でないとして犯罪の証明なしとしているが、原判決の挙示する被告人の原審第一回公判期日における供述、丹羽公一作成の昭和二十五年九月八日附及び同月十一日附各事実顛末書、丸山マスの司法警察員に対する同年十月一日附(第一回)及び同月六日附(第二回)各供述調書の記載に、被告人の司法警察員に対する同月九日附第一回供述調書並びに検察官に対する同年十一月二十一日附及び同年十二月九日附(第二回)各供述調書、坂下力吉の司法警察員に対する同年十月十日附第一回供述調書並びに検察官に対する同年十一月二十一日附及び同年十二月九日附(第二回)各供述調書の各記載を綜合すれば、被告人が手持資金の有利な利殖を図ろうとして坂下力吉の意見を求め、同人の申出に従つてその仲介により従来一度も面識のなかつた丹羽公一に対し昭和二十四年十月十三日頃、同じく丸山マスに対して昭和二十五年二月七日頃、いずれも現金十万円を月一割五分乃至一割の利息を払う約束で貸し付け、その後担保をとつて証書の書換をしたことが認められる。而してこれらの事実に本件訴訟記録及び原裁判所において取り調べた証拠に現われている諸搬の情況を参酌すれば、被告人は営利の目的を以て金銭の貸付を反覆継続する意思の下にこのような貸付をなしたものと認めるのを相当とする。弁護人は本件貸付は業として行つたものではないと陳弁するが、本件記録を精査しても未だ右認定を覆して弁護人の右主張を肯認させるに足りない。このように見るときは被告人の前記金銭貸付の所為は貸金業等の取締に関する法律第五条に違反し、同法第十八条第一号に該当するものと謂うべきである。従つてこれを罪とならぬものとした原判決には事実誤認の違法があるものと謂うべく、右違法は明らかに判決に影響があるから、原判決は破棄を免れない。それゆえ論旨は理由がある。

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